一国のトップが“国語力”の弱さを全国にさらしてしまった。午前9時からの予算委員会。茂木氏は、政府が今年度の第1次補正予算で凍結した財源を第2次補正に盛り込んだことを批判し「朝三暮四という言葉をご存じですか」と質問。これに対し、鳩山首相は「よく知ってます。サルに木の実を朝三つ、夜に四つ…」と最初は正確な回答をしていた。
しかしその直後、軽くニヤつきながら「朝決めたことが、夜すぐに変わるという意味で、物事をあっさり変えてしまうことです」と自信たっぷりに誤答。茂木氏に「それは朝令暮改」とすかさず突っ込まれ、野党のみならず、一部の与党議員からも失笑を買った。マニフェストを実現できずに迷走する政権の現状は、まさに「朝令暮改」。頭から離れず、とっさに連想したのだろうか。
麻生前首相は「未曽有(みぞう)」を「みぞゆう」、「低迷(ていめい)」を「ていまい」と読むなど、漢字の読み間違いが支持率低下の一因となった。鳩山首相は東大ながらも工学部出身。だからではないだろうが、公の場で見事に赤っ恥をかいてしまった。
国語力のなさだけでなく、指摘された言葉の軽さも露呈した。鳩山首相は21日夜、政治資金規正法違反容疑で逮捕された石川衆院議員に関し「起訴されないことを望みたい」と発言。これについて、22日の予算委員会で「(捜査介入との)誤解を与えてしまうのならば撤回を申し上げたい」と、わずか1日で発言をあっさり撤回した。
検察に対して不起訴や起訴猶予を求めたと受けとられかねない、一国のリーダーとしてあるまじき発言であるという声に首相は「無実が証明されればよいという思いで言った。検察の捜査に介入する意図は毛頭持っていない」と強調した。
故事成語の解釈の取り違いに、即座の発言撤回…。麻生前首相の二の舞いになりかねない鳩山首相の言動が国民の不信感を増大させ、下降が続く内閣支持率に影響を及ぼすことは避けられない。
◆朝三暮四(ちょうさんぼし) 目先の違いに気をとられ、実際は同じであるのに気がつかないこと。宋の狙公が飼っていたサルに木の実を「朝三つ、暮れに四つ与える」と告げたところ、サルが不満を示し、狙公が「朝四つ、暮れ三つ」と言い換えると喜んで受け入れたという故事に由来。
◆朝令暮改(ちょうれいぼかい) 朝に出した命令を夕方もう改めること。前漢の晁錯が文帝への上奏文で、農民が臨時の租税などを性急に催促される実情を伝え、政策が一定せずにあてにならない事態を戒めた故事に由来。
【関連記事】
鳩山首相、石川容疑者の不起訴望む発言
進次郎氏「分からないは、ぶれない」鳩山首相をチクリ
鳩山首相「違う事実出たら議員辞職」…谷垣総裁と初対決
鳩山首相、自らの偽装献金問題に「迷惑かけおわびする」
鳩山由紀夫 、 予算委員会 、 茂木敏充 を調べる
・ 北海道で震度3(時事通信)
・ 旧知の議員に「死にたい」 石川容疑者、不安漏らす(産経新聞)
・ 振り込め詐欺 09年の被害、過去最少 それでも月8億円(毎日新聞)
・ 小沢氏更迭「今その考えない」=鳩山首相(時事通信)
・ <日米安保>記念行事に300人出席 横須賀基地(毎日新聞)